トラネキサム酸は美容皮膚科の領域では、肝斑(かんぱん)の治療の第一選択として使用されています。

トラネキサム酸とピル(経口避妊剤)の併用は、血栓症のリスクが高くなる可能性があるとされます。

そのおもな理由としては、ピルは血栓症のリスクがあり、トラネキサム酸は血栓を溶かすのを抑える働きがあるからですね。

トラネキサム酸の内服を検討されているかたで、ピルをすでに内服されているかたも多く、トラネキサム酸とピルを一緒に飲んでも良いかという質問を頂くことも多いので、ここで解説します。

結論

結論から簡単に言うと、基本的には併用することはできる(併用禁忌にはなっていない)が、血栓リスクが高いかたは注意が必要、併用が望ましくない場合もある、ということになります。

ただし医師の見解や施設によって異なることもありますので、直接、担当医との相談が必須です。

トラネキサム酸とピルについて、もう少し詳しく解説していきます。

トラネキサム酸とは

トラネキサム酸とは、血作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用のある、人工的に合成されたアミノ酸の一種です。

薬剤名では、「トランサミン」などがあります。

美容皮膚科の領域では、肝斑治療の代表的な薬剤です。

肝斑は、プラスミンが活性化してメラニンの産生が亢進し、真皮に炎症が起こる状態になるといわれます。

プラスミンとは、血液の中にあるタンパク質分解酵素の一つで、血栓のもとのフィブリンを分解して血液をサラサラにする作用があります。

トラネキサム酸は抗プラスミン作用があり、メラニンやプロスタグランジンの産生を抑えることで炎症を抑えて肝斑が改善すると考えられています。

このようにトラネキサム酸は、肝斑の改善には効果が期待できますが、血栓が溶けにくくリスクがある、ということですね。

ピルと血栓のリスクについて

ピルに含まれていることの多いエストロゲンは、血液凝固機能を亢進させる作用があります。

そのため、30分を超える手術や、術後に不動を伴う手術では、VTE(Venous Thromboembolism;静脈血栓塞栓症)のリスクが上昇するため、少なくとも手術の4週間前からOC(低用量経口避妊薬)・ LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)を中止する必要があるとされています1)

また手術後2週間も休薬が推奨されています。

まとめ

・ピルを内服されているかたは、血栓ができるリスクが上がる。

・トラネキサム酸を内服すると、血栓が溶けにくくなるリスクがある。

・ピルとトラネキサム酸は併用することはできる(併用禁忌にはなっていない)が、血栓のリスクが高いかたは注意が必要、併用が望ましくない場合もある。

実際としては、リスクの低いかたの方が多いので、ピルを内服中のかたにもトラネキサム酸を処方することは多いですね。

広島市内でトラネキサム酸を検討されているかたへ

私が勤務している美容痩身クリニックKYPROS(キプロス)でも、トラネキサム酸をはじめとした美容内服薬を取り扱っています。

広島市内でトラネキサム酸を検討されているかたは是非ご相談ください。

美容痩身クリニック KYPROS(キプロス)

参考文献

1)公益社団法人 日本産科婦人科学会. OC・LEPガイドライン 2015年度版.